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2018.01 子どもとあそび「今、考えたいこどものあそびと育ち」

公開日:2023年03月19日 最終更新日:2023年07月24日

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あそびラボ「今、考えたいこどものあそびと育ち」取材レポート

浦安市こどもの広場では、乳幼児の保護者を対象に、こどもの育ちにおけるあそびの重要性について考える「あそびラボ」を実施しています。

平成29年12月13日のあそびラボは、講師に大正大学の西郷先生をお招きして「今、考えたいこどものあそびと育ち」をテーマに、青少年館で開催されました。

今回の情報局では、その講演の内容をご紹介します。

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1ヶ月前に4人目のお孫さんが誕生したばかりだという西郷先生の講演は、ときおり近くに寄ってきたこどもに微笑みかけたり、先生が参加者に思い出の「あそび」をインタビューしたり、と和やかな雰囲気で行われました。

●昔のこどものあそびは?
まず初めに説明があったのは、昔のこどものあそびと児童福祉についてです。
先生がこどもの頃は、街にはまだ空き地も多く、大人たちも忙しかったので、こどもはこども同士で、屋外で自由にあそんでいられたそうです。先生がマイクを向けた参加者からもいろいろな外あそびの思い出が語られました。一日の終わりに夕暮れの空を眺めて「楽しかったー!」と感じながら家に帰った方も多かったのではないでしょうか。

しかし、今から70年以上前の第二次大戦後の日本では、親を亡くし路上で生活せざるを得なかったこどもが急増、社会問題化していたそうです。こどもたちが不健全なあそびや環境に染まらないよう、健全なあそびの場の整備を始めたのが児童福祉法の原点だとのことでした。まず優先されたのが幼児の屋外のあそび場である「児童遊園」、その後、屋内のあそび場である「児童館」と整備が進められたのだそうです。

●なぜ今、こどもの外あそびが重要なのでしょうか?
現在は、子育て支援センターや児童センターなどの屋内施設が増えたこと、こどもの習い事も盛んになったことなどから、以前と比較して、こどもが外であそぶ時間が少なくなっているそうです。

その一方で、現在のこどもには、朝起きられなかったり、イライラしたり、空間認識能力が不足した結果、高所からの不自然な落下をしたり、といったことが増えているそうです。
西郷先生は、こどもたちのこうした状況を改善するのが、外あそびなのではと考えているとのことでした。

先生の調査によると、個人差はありますが、屋外でのあそびは「免疫力」「心肺機能」「体力」の向上はもちろん、「知的好奇心」「様々な人間関係を通した非認知能力の育ち」「情緒の安定」といったことにも大きな効果がみられたそうです。 国内外の他の調査でも同様の結果がでていることも、データで説明がありました。

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●保育・教育の世界でも外あそびが重要視されている
保育のガイドラインである保育所保育指針において「進んで戸外で遊ぶ」(第3章 教育にかかわるねらい及び内容)と明記されていたり、また、幼稚園教育要領にも「幼児の自発的な活動としての遊びは、心身の調査のとれた発達の基礎を培う重要な学習である」(第1章2)と記載されているそうです。

 

●では、どうやって外あそびをすればよいのでしょうか?
先生は、今後保育園入園を考えている人がどのくらいいるか訪ねた後、「施設を選ぶ際には『外あそび』の時間や内容も、ぜひ考慮してほしい」と話しました。

講演の最後に設けられた質疑応答の時間では、参加者から具体的なあそび方の質問がありました。 西郷先生はその質問に対し、「『外あそび』と言っても、どろんこになったり、思い切り走ったりしないといけない、ということではないんです。穴を掘ったり草を触ったり、歩いたり、ただ風吹かれているだけでもいいんです。子どもが興味を持ったこと、やりたいと思ったことに寄り添ってください。皆さんにはぜひ、子どもたちにその場所を提供し、きっかけを与えてあげて欲しいと思います。」と回答しました。

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●取材を終えて

会場後方には子どもがあそべるスペースが確保され、講義の間は、同建物内3階の子育て支援センターの先生方が子どもたちと一緒にあそんだりして、見守ってくれるということもあり、当日会場には30組程の親子連れが参加していました。
講演終了後設けられた先生への質疑応答も、終了時間間際まで質問があがり、参加者の関心の大きさがわかりました。

「外あそび」というと、走り回って、どろんこになったり、あるいは大自然の中でのアウトドアなど特別な体験をさせたりしなければいけないのではないか?と思ってしまいがちですが、ただ歩くだけ、風にふかれているだけでも効果的だというお話をうかがい、個人的に「外あそび」に対するハードルが下がった気がします。 当日配られたレジメの最後に、西郷先生がもっとも伝えたいと思われる言葉が記載されていましたので紹介します。

「いっぱい屋外にでよう」

●講師紹介

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西郷泰之氏
大正大学人間学部児童福祉プロジェクト研究所 教授
プレーパークせたがや理事長
浦安市こどもの広場運営懇談会会長

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