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2020.01 子どもとあそび「ちょっと気になる!?こどものからだと心~外あそびのススメ~」

公開日:2023年03月07日 最終更新日:2023年06月29日

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あそびラボ「ちょっと気になる!?こどものからだと心~外あそびのススメ~」 取材レポート

浦安市こどもの広場では、乳幼児の保護者を対象に、こどもの育ちにおけるあそびの重要性について考える「あそびラボ」を実施しています。

令和元年12月5日のあそびラボは、講師に日本体育大学教授の野井真吾先生をお招きして「ちょっと気になる!?こどものからだと心~外あそびのススメ~」をテーマに、青少年館で開催されました。

今回の情報局では、その講演の内容をご紹介します。

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会場にはイス席の他に、親子で座ったり、子ども達がおもちゃであそべるマットが敷かれたスペースも用意されていたほか、施設内の別室では託児も用意されていました。
野井先生の講演は、いくつかの研究データや先生の仮説などを会場のスクリーンに映し、それについて先生が説明するという形で進んでいきました。
参加者は、野井先生の研究の結果や3児の親でもある先生の実体験に基づいた話に、うなずいたり、メモを取ったり、時には笑いながら、耳を傾けていました。

【ちょっと気になる子どものからだと心】

野井先生は、研究で訪れる保育や教育現場で保育士や先生たち、子育て中の保護者から実感として、「ちょっと気になる」「どこかおかしい」子どもが増えているという話をきくことがよくあるそうです。しかし「新体力テスト合計点の年次推移」や「疾病・異常被患率」等のデータによると、子どもたちの体力や健康状態は悪いどころか以前より良い結果になっているそうです。では、その「おかしさ」とは何なのでしょうか。
先生がその実態を身体機能レベルまでさかのぼって仮説を立てて研究された結果、「自律神経機能の不調によるからだのおかしさ」、「前頭葉機能の未発達によるこころのおかしさ」という事実が見えてきたそうです。

【からだのおかしさ】

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朝起きられない、朝から元気がない子どもが増えている原因を、メラトニン(※)不足による睡眠不足と考えた先生は、長期キャンプに参加中の子ども達や毎日散歩をする保育園の子ども達のメラトニンの分泌量を調査したそうです。その結果、昼間に太陽の光のもとで適度に身体を動かし、夜間に明るすぎない環境にいる子どもは本来分泌されるべき夕方から夜間にメラトニンの分泌量が多くなることがわかったそうです。メラトニンの分泌量が夜間より朝に多くなると、夜に質の良い睡眠がとれず、「起きられない」「午前中ぼーっとしている」といった状態になるとのことでした。
※メラトニン:睡眠導入ホルモンと呼ばれる脳内物質

【こころのおかしさ】 

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前頭葉機能には発達段階に応じて、「不活発型」「興奮型」「抑制型」「おっとり型」「活発型」の5段階があり、年齢が上がるにつれて、その「型」は変化するとのことです。
落ち着きがない、じっとしていられない子どもが増えている原因を、前頭葉機能の未発達だと考えた先生は、子ども達の前頭葉機能の「型」を測定してみたそうです。
ある保育園では、他の園に比べて前頭葉機能の未発達を示す「不活発型」が極端に少なかったそうです。その園の一日の過ごし方を調べると、毎朝当園後に子どもが何をやっても良い「じゃれつきあそび」という時間を設けているということでした。
また、長期キャンプに参加する子どもを対象とした調査では、キャンプ前半と後半に計測した場合、後半の方が「不活発型」の値が少なくなっていたそうです。
その結果から、野井先生は、子どもが自らすすんでやりたいことをやっている「ワクワク・ドキドキ」する時間が前頭葉の発達を促しているのではないかと考えているとのことでした。

【先生からの仮説的提案】

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●その1 「光・暗闇・外遊び」のススメ

「早寝・早起き・朝ごはん」が実行できるためには、「光・暗闇・外あそび」が大切なのだそうです。
子どものために「早寝・早起き・朝ごはん」が良いからといっても、子どもに「早く寝なさい」と言うだけではなかなか実行できません。子どもが早い時間に寝むれるようにするには、昼間に浴びた太陽の「光」・適度は運動である「外あそび」・メラトニンを分泌させるような夕方からの「暗闇」が必要なのだそうです。

●その2 「ワクワク・ドキドキ」のススメ
大脳前頭葉の発達を促すには、「やらされている」ことではなく、子どもが自ら楽しいと「ワクワク・ドキドキ」しながら、夢中になれることが、大切だとのことです。

●その3 「よい加減」のススメ
「光・暗闇・外あそび」や「ワクワク・ドキドキ」が大切だと言って、大人が「頑張って」しまった結果、ストレスを感じたり疲れたりすると、子どももそのストレスを感じ取ってしまうことがあるそうです。
それに対して、先生は、まずは子どもだけでなく、大人も楽しみ・のんびり・輝きながら「よい加減」を探求していくことも大切なのだと締めくくられました。

大人(親)が子どものためにがんばってよい環境を、という保護者にとってきびしい内容ではなく、できることからはじめよう、という先生のメッセージに、参加者はうなずきながらしっかりとうけとめているようでした。

【参加者からの質問】
Q1 外あそびをする時間はどのくらいが良いですか?
子どもによってワクワク・ドキドキは違うため、時間には個人差があります。子どもの寝つきの様子を見ながら判断するのが良いと思います。

Q2 服装は半袖・長袖どちらが良いですか?
目から入る光が大事なので、服装はあまり関係ありませんが、体温調節が苦手な子どもが増えているので、気温の刺激が適度にある方が発達には大事です。あまり過保護になりすぎない方が良いと思います。

Q3 外遊びの時間が夕方になってしまうのですが…
人間は昼間活動して夜休息する動物です。なるべく昼間に外あそびしたほうが良いと思います。

Q4 夜、テレビなどを見たいのですが…
残念ながらテレビは睡眠を妨げてしまいます。照明でもまぶしさを感じるとメラトニンが出にくくなってしまいます。夜はできるだけまぶしいと感じない生活を心がけると良いと思います。

【参加者の感想】
●子どもの発達にとって、科学的データからみても、外あそびが大切なのだとわかりました。いままでは、なんとなく良さそうだと思って外あそびをしていましたが、今のままで良いのだと自分の子育てに自信が持てました。

●浦安には自然が少ないので、郊外のキャンプ場などに行かなくてはいけないのかと思っていましたが、子どもが自由に楽しいと思う活動を、太陽の光の下で行うことが重要だと伺って、キャンプ場などに行かなくてもできるのではないかと思いました。

【講師紹介】

野井 真吾 氏
日本体育大学体育学部健康学科教授

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